5月末、エスコート医療スタッフ2名(看護師)とともに、あるお客様の里帰りのお手伝いをしました。
現在入居されている施設からは約150キロの道のりでした。
普段はほとんど口を開くこともなく、一日の大半をベッドで過ごす要介護5のお客様。
元々6月末の予定が、突然体調が悪化し、行けるうちにと、急遽5月末に早めたのです。
血圧も基準値よりはるかに高く、移動をする上でも、予断を許さぬ状況でした。
都会から高速道路を進むにつれ、増えてくる緑。
その青々と茂った木々たちを、眼を大きく開けて眺めるお客様。
誰かに何かを語りかけているようでした。
故郷に到着。
以前よく歩いたあぜ道に入ると、お客様は栗の木、桜の木を指差し、懐かしそうな表情を浮かべました。
そして、昔耕していた畑が目に入った瞬間、別人のように元気になりました。
日頃のお客様の様子を知るご家族にとっては、信じ難い光景でした。
50年以上も住んだ、今は誰も住んでいない家。
少し老朽化が進んだ家に車いすで入ると、
静かに、静かに、家の中を見まわすお客様。
壁にかかる表彰状。家族の写真。
昔ながらのタンス。
仏壇があった場所。
そして、台所。
黙って見つめるその眼、
でもその眼は、キラキラしていました。
今回のこの旅行、
普段は、栄養ドリンクしか飲まないお客様が、
この日はお寿司などを、自分の手で召し上がりました。
しゃらく旅倶楽部としても、事前にドクターやケアマネ、
担当ヘルパーと何回も打合せを行いました。
旅行当日は、数時間に1回のバイタルサインチェック。
いろんな方の想いが詰まった旅行になりました。
私たちスタッフも、大きな感動を頂けたご旅行になりました。