「23年前に母親と一緒に行ったきり行っていない徳島にあるお墓へ行きたい」
そうおっしゃるのは神戸市でお一人暮らしのYさん。
しかし、正確なお寺の名前も場所もわかりません。わかっているのはお寺の名前が「あっかわさん」「●●駅から歩いていけた」ということだけ。
近くのお寺や役所などに問い合せるとご住職が脇川さんというお寺さんがあるとのこと。お墓を探しに行ってみることになりました。本来、徳島ならば日帰りでも行けるのですが、お墓を探す日を考慮し1泊2日でいくことに。
当日、気持ちよく晴れ渡り、思い出話をお聞きしながらの旅路。
いよいよ目的の駅に到着し、「駅の山側を1時間ぐらい歩いたところ」というYさんの記憶を頼りに車を走らせます。
すると脇川さんがご住職というお寺を発見。訪ねてみましたがどうやら留守のよう。調べてきた電話番号にかけてみるも出られないので、車で探すことに。
5分ほど走ると、いくつか墓地がちらほらと。「ここから歩こうか」とYさん。車いすに乗っていただき、山道を散策。「ちょっと坂になった細い小道だったんだよ」とYさん。しかし、20年の月日はあたりの景色を一変させており、1時間ほど歩きまわってみたものの記憶にある墓地への小道は見つかりません。
6月の頭とはいえ、ともいい天気で気温も30度近くありました。Yさんもお疲れのご様子なので日陰で休憩がてら、もう一度最初のお寺さんへ電話。
すると今度はご住職が出てくださり、更に事情を説明するとこれから一緒にお墓を探しにいっていただけるとのこと。早速、お寺へ向い、ご住職と一緒にお墓へ。
お寺から車で3分。「ここに車を停めて歩きましょう」とご住職が案内してくださった場所は私たちが先程何往復もしていた場所。ご住職に付いて「頑張って歩いてみよう」と立ち上がったYさんは足取りよく。そして少しばかり路地へ入るとお墓へと繋がる道が。
「これだ!これだ!」そこにはYさんの記憶に残る小道がありました。ここだったような気がするというご住職を頼りに墓地の中を捜索すると…。
「あったあった。やっぱりここだったか」とご住職。そこには間違いなくY家のお墓が。「この辺でYて苗字は珍しいから覚えとったんよ」とご住職。
とても晴れ晴れとしたお参りになりました。
2日目も朝からお墓へお参りをして神戸へ。帰りしな「8月は混んでるだろうから次は9月に頼むね」とYさん。もう道は覚えましたので是非また行きましょう。