66年前の記憶をたよりに、生き別れたお兄様との再会を心から願うお客様。
長年にわたりご自身で探し続けてこられましたが、さまざまな事情から戸籍をたどることも難しく、思うように進まない日々が続いていました。
そんな中、私たち「しゃらく旅倶楽部」にご相談をいただき、この旅が始まりました。
今回は、その旅の2回目。
国立公文書館のデジタルアーカイブを使って、お兄様に関係があるかもしれない資料を探します。
公文書館の職員の方にもご協力いただきながら、お兄様のお名前が記された記録の閲覧申請を行い、実際に足を運んで確認してきました。
そこにあったのは、開拓団に関する資料。
「戦死」「病死」「現地妻」「現地残留」など、胸が締めつけられるような言葉が並びます。
山崎豊子さんの小説『大地の子』の情景が頭をよぎり、心が乾いたぞうきんを絞るように痛みを感じながら、一つひとつ名前を追っていきました。
現代の私たちは、つい不満を口にしてしまいがちですが、こうした資料を目にすると、今こうして平和な時代に生きていること自体が、どれほどありがたいことかと、あらためて感じさせられます。

そしてついに、お兄様のお名前を見つけました。
その瞬間、97歳になられるお客様の目が、ぱっと輝きました。
「やっと見つけた」と、静かに、でも確かに喜びがあふれます。
残念ながら、記載されていた情報は限られており、詳細までは分かりませんでした。
それでも、大きな一歩を踏み出せたことは、何よりの成果です。
次回は、また違った角度からの旅を計画しています。
お兄様の出生地にあるお墓やお寺を訪ねる旅です。
「100歳まで生きる。
そしてその間に、必ず兄を見つける。兄の家族を探す。」
その強い想いに寄り添いながら、私たちもできる限りの力を尽くしてまいります。
ユニバーサルツーリズム
介護・付き添い旅行「しゃらく旅倶楽部」
エスコートヘルパー 小倉 譲