施設に入居しておよそ2年の、要介護3のお客様。以前住んでいた家までは、車で行けば20分程度しかかからない、目と鼻の先と言える距離です。でも、このお客様にとっては“近くて遠い家”でした。
以前、ご自宅に戻って、家の荷物を整理したいというオファーを受け、ご一緒させていただきました。その時はほとんど歩くことができず、家の中も車いすで移動していました。2階に上がる際には、エスコートヘルパーがおんぶして上がりました。
そして2回目となる今回、世界各国で買い集めた猫の置物を施設に持ち帰りたいというご要望により、再度ご自宅へ。
「これは、ローマ三越で買ったもの。」
「これは誰々にもらったもの。」
数百種類はあろうかという小さな猫の置物を一つ一つ手に取りながら、昔の思い出といっしょに、大切に段ボールの中へ。それぞれの置物にあるストーリーを話すお客様。その記憶の鮮明さに驚く私。
そしてさらに驚いたのは、前回家の中も車いすでの移動だったのが、今回は家の中では自らの足で歩かれたこと。もちろん、両手を持って補助をさせていただきましたが、1回に20~30歩は歩かれたのではないでしょうか。なんでも前回ご自宅に帰られて以降、今まで以上にリハビリに励まれ、歩けるようにまでなったとのこと。やはり、”旅は最高のリハビリ“ですね。