「お孫さんの結婚式に行きまそうね」と伝えると、「行く・行く」っと私に伝えてくれたお客様は、認知症で要介護5。病棟で横になり、ベッドの横に椅子をおきコミュニケーションを図る。どこまでお互いの気持ちが伝わったのか分からないけど、結婚式に行くという事だけはしっかりと認識されている様子。
これなら無事に行けるねと、その後結婚式場に足を運び下見をしたのち、当日に望む。しかし、結婚式当日1週間前に確認の電話を入れると肺炎になり、状態が良くなかったけども、何とか当日までに完治し出発。
病室で礼服に着替える。慣れない伸縮性のない生地に悪戦苦闘しながら出発した介護タクシーの中、「小倉さん・小倉さん」と私の名前を呼んでくださる。
ご親族の方から小倉さんが当日お手伝いしてくれるからねっと言っていたからだろう。頼りにして頂けている。
式場に到着後、新郎新婦からの挨拶に加え、ご親族の方から話しかけられる。普段から寝たきりの状態だから、会場での身体的な負担を減らすため、リクライニング車いすで横になった状態で会場を移動しては親族と面会を楽しむ。
結婚式、一番前に陣とったお客様は、しっかりと新郎新婦を見つめている。上手に言葉に出来ないけど、一生懸命何かを伝えようとしているのが私達にも伝わってくる。
私が話しかけると、笑顔で応えてくれる。
最後に新郎新婦を見送る時も、殆ど目をそらすことなく見つめているその姿は、お孫さんの結婚が本当に嬉しいんだろうな~っと感じました。
病院に到着後、普段の衣服に着替えて頂いた後、「また何処かに行きましょうね」と伝えるると、左手を上げてくださった。「またお願いします」と伝えてくださった気がします。
きっと、また旅をご一緒する日があるように思います。