10月9日。半袖でも暑いくらいの好天に恵まれた午後、Nさんを老人ホームにお迎えに上がりました。おでかけ前の不安があるのでしょうか?少々ご機嫌ななめのご様子。着ていく洋服選びも大変です。ようやく納得され笑顔もにっこり。
さあ、これなら大丈夫です。ホームの皆さんに「いってらっしゃい、楽しんで来てくださいね。」と見送られ、介護タクシーにていざ出発。
今日の行き先は王子動物園です。ゲート前でケアマネージャーさんと理学療法士さんと合流し、4人で動物園巡りです。Nさんのお目当てはキリン、パンダと聞いていましたので、まずは一番奥にいるキリンを見ようと直行しました。
園内はかなり勾配があり、車イスを押していると汗ばんできます。寒がりのNさんも暑いと言われ、カーディガンを脱がれました。
キリンを見ての感想は「首も足も長いですねえ。でももっと黄色いはず。」
カンガルーの前では「袋で赤ちゃんを育てるの。」と教えてくださいます。
パンダはちょうど食事中で、1頭は笹を もう1頭はニンジンを食べていました。
手すりをグッと引き寄せ興味深げにご覧になり一言。
「ぬいぐるみみたい。もっと大きいのかと思った。」
かわいい動物たちを見て私たちも皆童心に戻り、記念撮影をしたりと、楽しく過ごしているうちにあっという間に時は過ぎていきます。
Nさんもご機嫌なのでケアマネさんと相談して帰りのタクシーのお迎えを15分延ばしてもらいました。
ゾウと写真を撮り、最後にライオン、トラを見て、お二人に見送られながら、帰途につきました。
お部屋に戻り、用意していった熱いほうじ茶を勧めると「あー、おいしい。」と目を細められ、「楽しかった。暑かったのにありがとう。」と感謝の言葉をいただきました。(はっきり聞き取れなかったのですが、私にはそう伝わりました。)
担当のヘルパーさんに様子を報告しホームを後にした時、爽やかな風が吹いたように感じました。たとえ短い時間でも楽しい時間を一緒に過ごせたことに「ありがとう。」といいたい気分になります。私自身が優しい気持ちになれるそんな一日になりました。
お疲れが出なかったかと心配しましたが、翌日とっても楽しまれていたと報告を受け、ようやくほっと安心しました。