2018年度を振り返って

拝啓 初夏の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素はひとかたならぬ御愛顧を賜り、ありがとうございます。

2018年度は、大きなカイゼンが2点ありました。1点目は、自己資本比率が62.5%まで回復したことに加え、流動比率も248%となりキャッシュフローが安定しました。2点目としまして、営業利益からの借入金の返済が難しい状況でありましたが、返済が可能となりました。借入金も380万円と大きく減額することができております。

なお、各事業部においては、依然として足踏みが続いております。正直に「社会的意義」があれば事業を存続してもいいのか、「やりがい」のある事業であれば雇用の安定は無視してもいいのか。成長ない事業継続は衰退と同じであれば、財政的な危機を脱したとはいえ、衰退状況であると認識しております。今日までの両事業部の成功が今日の組織分化を形成し、その組織分化そのものが今後の大きな失敗へとつながるのではないかと危惧しております。2019年度に向けて、資金的カイゼンから組織構造・分化のカイゼンに注力していきたく思います。

代表理事 小倉譲

しゃらく旅倶楽部 オーダーメイド旅行

今回、私が最も気を付けたのは、やはりご主人様の体調管理です。尿カテーテルを装着されているのでその管理と、久しぶりの外出になるので、休憩時にはリクライニング車いすを倒してできるだけ腰の負担を軽減することを心がけました。夜ごはんは、ご主人のお姉様も合流、何年かぶりのご兄弟の再会そして、この日は更に、お孫様、ひ孫様も登場。皆から愛されているおじいちゃんです。つい3年前までは毎年のように、里帰りをされていたそうですが、お身体が弱ってこられ、もう行けなくなったと思っていたところ、ケアマネジャーさんにご紹介いただき今回のご旅行となりました。いろいろなご縁によって、実現できた今回の里帰りでした。

(83歳男性 要介護5)
行程:神戸市内の施設→大山ドライブ→皆生温泉ホテル→実家と親戚のお宅→神戸市内の施設

しゃらく旅リハ プラス

6月21~22日で旅リハクラブメンバーのうち4名の方と、伊根舞鶴への1泊旅行に行ってまいりました。1日目は宮津・富田屋でランチ後、伊根の舟屋の街の散策・クルーズを楽しみ、宿泊先の油屋に入りました。きれいな景色、新鮮な魚介類のお食事を堪能し、皆様終始ご機嫌でした。2日目は舞鶴へ。「ひと目十万本」とも言われる舞鶴自然文化園のあじさいに皆さん大興奮。途中、歩けないお客様のために何度も車いすを使って往復するなどして大変ではありましたが、とても満足していただけました。最後は道の駅舞鶴港とれとれセンターでおいしいお食事をした後、お土産をこれでもかとたくさん買って帰られました。今後も旅リハメンバーの皆様に、いつもと違う1泊2日のツアーも提案していく予定です。

しゃらく旅倶楽部実績

2018年度は総取扱高を26,571,900円(前年比30.7%UP)と伸ばすことができた一方で、売上総利益は8,705,113円(前年比▲9.0%)と伸び悩みました。手配案件の受注を増やすことができたものの、利益率の高いオーダーメイド旅行や複合手配案件の受注を増やすことができなかったことがこのような実績につながったと考えられます。旅リハ倶楽部については、今年度催行件数28本(前年34本)で、催行件数としては数を減らしたものの、売上金額1,340,307円(前年比0.05%UP)とほぼ前年と変わらない実績となりました。そのほか、旅リハクラブのレギュラーメンバーに対する宿泊旅行の提案を行い、3本の宿泊旅行が催行されました。体制的には宇野さんが主に添乗業務、廣岡さんが主に手配業務を担当、それぞれ対応件数を重ねながらスキルアップすることができました。

しゃらく旅リハ倶楽部

10月24日、4名のお客様とともに篠山へ黒豆収穫体験をしてきました。まずはユニトピアささやまのある矢代地区の農家さんが営む畑へ。枝付きの状態での収穫にチャレンジしていただくために、事前にお願いして特別に椅子を用意していただきました。天気も良かったせいか、皆さんとても気分よさそうに、一つひとつ丁寧に収穫されていました。篠山の黒豆は大粒で味も濃いそうで、「喜ばれるんよー」とたくさんお土産にも買って行かれました。収穫が終わって特産館ささやまへ。地元の食材をふんだんに使ったランチに皆さん大喜びでした。毎年大好評の黒豆狩りツアー、おそらく来年も最も人気のあるツアーになりそうです。

インキュベート事業部

生きがいしごとサポートセンター

兵庫県しごと支援課からの補助で、2006年度から運営しています。コミュニティビジネスやソーシャルビジネスの相談業務(起業14件、拡充1件)やセミナー(参加者数144名)などを行いました。特に、ふれあいのまちづくり協議会を中心としたNPO法人の設立を重点的に支援しました。淡路島事業においては、発足以来手伝っているAWAJISHIMA Sodatete Marketが阪急うめだ本店における催事を無事に成功させました。

NPO法人設立・運営相談窓口

神戸市市民協働推進課からの委託を受け、2012年度から実施しています。設立相談(163件)、運営相談(184件)と相談件数は2017年度に比べてどちらも増加しました。昨年度に引き続き貸借対照表の公告方法に関する定款変更や児童館を運営するふれあいのまちづくり協議会のNPO法人化の相談も多く見受けられました。NPO法人設立およびNPO法人会計に関する説明会を各1回開催。参加者は計38名でした。

協働コーディネート業務

神戸市市民協働推進課からの委託を受け、2010年度から実施しています(2018年度をもって当事業は終了しました)。神戸市内のソーシャルビジネスやNPOと行政の協働推進、政策立案のアドバイスなどを行いました。2018年度は5団体を伴走支援し、セミナーを2回企画立案しました。当事業の一環で、078 Interactiveの企画立案や運営に携わり、電子地域通貨のカンファレンスを担当しました。

神戸市協働と参画のプラットホーム

神戸市市民協働推進課からの委託を受け、2018年度から実施しています。ソーシャルキャンパス、ソーシャルブリッジがあるサンパルに設置し、行政・NPO・地域団体・企業・学生など、多様な主体が連携・交流できる拠点として整備しています。2018年度は154団体が登録、イベントや打ち合わせ等で延べ1,565人の利用がありました。また自主企画としてSDGs(持続可能な開発目標)をテーマにセミナーやイベントを8月より27回実施しました。

生涯いきいき情報センター

神戸いきいき勤労財団からの委託を受け、2016年度から運営しています。主に、高齢者や障がい者の生きがい・就労支援他、中高年齢者の転職・再就職個別相談会を毎月開催しています。2018年度は、1,603件の相談に対応し、「退職前の第二の生きがいについて」、「新しい働き方・多様な働き方」、まだまだ生涯現役で地域の中で活躍したい!自らの居場所探しなど、地域と関わりたい相談に対応しました。

神戸ソーシャルキャンパス

学生の累計利用登録1067名、来館者数述べ2379名、学生と学街活動のマッチング117件、イベントの実施71件と、それぞれの項目で前年度の数字を上回りました。また、神戸国際グルメ部KOBE高校生ボランティアアワード三宮ソーシャルキッチンなど、今後の継続・発展が見込まれるプロジェクトも多く発足。神戸の学街活動を促進していく拠点として学生・地域に定着してきたことや、さらに発展する余地があることを実感する1年となりました。

会社びらき

神戸市内の企業と学生の接点を日常的につくることを目的に、学生自らが企業を取材し、その会社に訪問(工場、オフィス見学等)できる内容をまとめてウェブサイトで情報発信する「会社びらき」を始めました。さらに、より具体的な取り組みとして2019年2月18日~22日に「神戸インターンシップウィーク」を開催し、合計89名の学生と17社の企業が参加し、インターンシップ等を通じて出会う場を創出しました。

神戸ソーシャルブリッジ

神戸ソーシャルブリッジは、神戸市内のNPO・地域活動団体と、企業社員、行政職員、シニア、学生など社会貢献活動を希望する多様な人材をつなぎ、地域社会の課題解決に協働して取り組むプロジェクトです。しゃらくは認定NPO法人サービスグラントと連携しつつ、コーディネート業務を担い、今年度は79名の参加者と11の団体が年間で17プロジェクト(1週間、2か月間含む)を行いました。

兵庫県の市民活動を担う新しい主体を考える!

兵庫県県政150周年記念 県民連携推進事業にて、兵庫県内の一般社団法人とNPO法人の比較調査およびその報告会を兼ねたフォーラムを、兵庫県、神戸市、県内の中間支援組織、研究者とともに実行委員会を組織し、開催しました。アンケートは3,993件を送付し、622件を回収しました。また、フォーラムには関係者を含め56名が参加しました。報告書等はしゃらくのホームページで公開しています。


2019年度事業計画

基本方針

2019年度の事業計画は、2018年度に記載した「経営指針・3カ年計画」を継続します。加えて、2019年度以降を見据えて大きく3点の行動と判断が必要な1年になるかと考えています。まず、カイゼンが必要な3点として、

  1. 有期契約労働者の無期転換の5年間ルールの適用と雇用の安定
  2. 低い賃金
  3. 設立から培ってきた組織分化・風土による仕事の硬直化

をあげることができます。委託・補助事業はそもそもとして有期契約であるため、この事業を継続し続ける以上は雇用の安定は存在しません。また、委託・補助事業から創発される自主事業が育たない現状においては、賃金のカイゼンも難しいこともあります。また、両事業とも一定の成果と成功を勝ち取ってきた事実がある中、成功体験が新たな成長への阻害要因になっています。

2019年度においては、委託・補助事業から創発される新規事業(パイロット)のモデル化により課題に対する有効性を図っていきたいと思います。それらが、様々な阻害要因により実現困難であれば大きな判断が必要になると感じています。他に、「神戸・兵庫の企業や組織を元気にする」ことをコンセプトに、しゃらく、代表理事、その他が株主として株式会社を立ち上げ、神戸・兵庫社会への貢献と収益事業に注力する仕組みを構築するとともに、しゃらくとの事務機能等の統一により固定費削減を実現したいと考えています。

しゃらく旅倶楽部

前年度までは事業部全体の実績を見る一つの指標として売上金額を見てきましたが、今年度以降はどれだけ法人に利益を残せたかを最重要視するため、売上総利益(粗利)を指標としてみていきます。

今年度は昨年度実績の40%増となる、12,030,000円の売上総利益を目標とします。具体的には未開拓地域の地域包括支援センター、有料老人ホーム、居宅介護事業所等を訪問営業すること、また、司法書士や弁護士、社会福祉士等の後見人に携わる専門職へのアプローチを進め、オーダーメイドや複合手配の案件受注数増を目指します。

体制としては、昨年度と変わりないメンバーにはなりますが、宇野さんは行程表や見積書等書類作成等、廣岡さんもオーダーメイド案件への対応もしてもらえるようになってきており、少なくとも小倉・須貝の営業に出る機会は昨年度よりも大幅に増やせる状況になってきております。常に目標に対する達成状況を皆が把握している状況を作り、具体的な対応策を考え、実行していくことによって達成に結び付けてまいります。

インキュベート事業部

「神戸がソーシャルな取り組みで自主的に社会課題を解決し、持続可能なまちになっていること」「国境やセクターを超える人材やSB・NPOを増やすための基盤づくり」の2つをビジョンに掲げています。2018年度の事業計画でも記載したように、2019年度が大きなターニングポイントとなります。現在、3つの事業(神戸ソーシャルキャンパス・神戸ソーシャルブリッジ・協働と参画のプラットホーム)を展開するサンパルの閉鎖がほぼ確定しているからです。また、生涯いきいき情報センターが所在する神戸市勤労会館の閉鎖も同様です。そのため、2019年度は大きく2つの取り組みを行う必要があります。第1に、神戸市に対する政策提言です。第2に、事業の再構築です。

そのためのポイントは3つあると考えています。第1に、新たな事業の試行と実装は2018年度と変わらず実施したいと考えています。事業のタネはいくつかあるものの、まだ具体化されているとはいえません。第2に、とはいえ、日々の事業やオペレーションをきちんとまわすことも大事です。当事業部が長く成果を上げ続けてきた理由は、実務能力の高さと新しいアイディアを常に提示してきたことにあります。第3に、スタッフが働きすぎないようにすることです。新規事業と既存事業を並行させることから、どうしてもスタッフの負荷が増えることになり、その結果、しごとの質が落ちてしまう可能性があります。