2017年度を振り返って

拝啓 初夏の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素はひとかたならぬ御愛顧を賜り、ありがとうございます。

さて、2015年度からの経営危機において出口に立てたかと思います。まず前年度対比、自己資本比率が48%→57%に、流動比率169%→231%と改善されました。短長期借入金も570万円と縮小し財務体質も改善されキャッシュフローも安定してまいりました。ただ、依然として営業利益からの借入金の返済が難しい状況でありましたが、それも2018年度には改善されるかと思います。

各事業部で見るとしゃらく旅倶楽部事業部においては、高齢者・障がい者の非日常支援において必要な存在として定着しておりますが、事業成長停滞期になっております。改善すべく新しい風を入れ、新規事業の実績を若干残せましたが体質的にはまだ改善できていない状況です。一方、インキュベート事業においては行政とマーケットからの信頼により成長期を維持している状況です。

代表理事 小倉譲

しゃらく旅倶楽部 オーダーメイド旅行

6月中旬、しゃらく宛に一本のメールが届きました。食道癌末期の父と旅行に行きたいのですが、可能ですか?とのご連絡。それからメールと電話で打合せを重ね、7月に旅行が実現しました。

ご本人と奥さま、その娘2人とそれぞれの夫。そして、孫にあたる子どもたち2名の計8名の旅。お客様のご自宅から片道2時間程度で、山梨にある富士山が見えるお宿に。

残念ながら、その日は曇り時々雨。そこに見えるはずの富士山は見えませんでした。到着し、小休憩をとっていただいた後に温泉へ。

「温泉はいいな~」そう言いながら、一度入浴した後、さらにもう一度入浴され、温泉をご堪能いただきました。また、この日は思いがけず河口湖で花火大会が開催されました。偶然の機会でしたが存外お楽しみいただけました。

チームビルディング研修

川崎重工業株式会社車両カンパニー様の新入社員61名に対して、チームビルディング研修を実施しました。8人程度のグループになり、銀の馬車道を歩く研修は、目的・目標の違いを知り、その上でチームが目的を達成するためにコミュニケーションをとりながら2日間歩きました。参加者の満足度も高く、発注者様からも高い評価をいただき、旅行事業部の新たな社会貢献・収益源として育てていく必要性を感じています。

しゃらく旅リハ倶楽部

ツアーでの使用車両をアルファードに変更したのに伴い、4月から参加代金を5,980円から9,980円に変更しました。結果、2017年度の催行回数は34回(前年15回)、参加人数はのべ146名(前年100名)、売上金額は1,339,553円(前年769,430円)と全ての指標で大幅アップ、効率化だけでなく、収益増まで達成できました。

インキュベート事業部

生きがいしごとサポートセンター

県しごと支援課からの補助で、2006年度から実施しています。コミュニティビジネスやソーシャルビジネスの相談業務(起業19件、拡充2件)やセミナー(参加者数120名)などを行いました。求人数・求職者数がともに減少する一方で、働きたいが働けないひとたちの支援は確立できているとは言えません。淡路島では、移住者のしごとを作ることが今後も事業の中心となると考えています。

NPO法人設立・運営相談窓口

市民協働推進課からの委託を受け、2012年度から実施しています。設立相談(147件)、運営相談(157件)と相談件数は2016年度に比べてどちらも増加しました。貸借対照表の公告方法に関する定款変更や児童館を運営するふれあいのまちづくり協議会のNPO法人化の相談も見受けられました。NPO法人設立に関する説明会を2回開催し、参加者は32名でした。

協働コーディネート業務

神戸市市民協働推進課からの委託を受け、2010年度から実施しています。神戸市内のSBやNPOと行政の協働推進、政策立案のアドバイスなどを行っています。2017年度は、11団体を伴走支援し、SBに関するセミナーを4回企画立案しました。また、こうべソーシャルフォーラムの企画運営、神戸ソーシャルブリッジの立案アドバイスなども行いました。

生涯いきいき情報センター

2017年度は、1,374件の相談に対応し、シニアが60.9%、若年者が39.1%の利用で、男女別では、男性が695人、女性が679人でほぼ同等でした。また、転職・再就職個別相談会を定期的に開催し、就職21件に結びつきました。最近の傾向として相談窓口及び情報提供もしつつ、市民の居場所となりつつある当センターを活かして居場所づくりなどの身近な情報を提供しています。

神戸ソーシャルキャンパス

学生の利用登録577名、学生と地域活動のマッチング97件、イベントの実施44件、発足したプロジェクトチームは10を数えました。また、大学の講義でソーシャルビジネスの事例を紹介する出張セミナーを、13大学を対象に計20回実施しました。加えて、学生と企業の接点を提供する会社びらき事業では、7社の企業情報を、学生へ発信してきました。

神戸ソーシャルブリッジ

「NPOや地域団体等」と「社会貢献活動を希望する人材」をつなぎ、地域社会の課題解決に協働して取り組む新たなプロジェクトです。オープニングイベントとして2017年3月25日にはセミナーを実施し、120名を超える参加者が神戸に集まりました。具体的なアクションへの一歩を進めやすいよう1週間の短期プログラム、2ヵ月のプロジェクトなどを用意する予定です。今年度は50名の参加者と10団体のマッチングを目指し、活動します。

2018年度事業計画

基本方針

年度初日、全スタッフの前で経営指針・3カ年計画を発表しました。しゃらく全体として、また各事業部においての理念、ビジョンを軸に、機能的戦略及び事業的戦略の2つの側面から実施します。機能的側面においては、一つ目に「やり甲斐・働き甲斐」を重要だと捉え、有給5日連続取得及び残業なし、また3年後に基本給の2~5%のアップを目標とします。加えて、労務会計の体制強化のため3年以内に常勤の雇用を目指します。また、スタッフが新たな事業を実施したい場合は積極的に応援します。

事業的戦略においては、まずサービス対象者ドメインを明白にするとともに、しゃらく旅倶楽部事業及びインキュベート事業がシナジーを埋める体制と連携、またしゃらく旅事業部においては、3年後の売上目標を6,500万、インキュベート事業においては1,500万を売上目標とします。その上で、

  • 働く価値を見出せる組織(働き甲斐・働きやすさ・インセンティブ・人間関係)
  • 専門的スキルを持ったスタッフが自立的付加価値を生み出せる組織
  • 旅行部門とインキュベート事業の連携事業の創出

その結果、

  • ミッション・ビジョンを達成し、持続可能な収益事業の確立
  • 組織経営が自分事となる状態

を2020年度までに目指し、本年はそのキックオフとしてその実現を目指します。

しゃらく旅倶楽部

前年度終盤から事業部長の須貝以外に、主に添乗担当の宇野さん、手配担当の廣岡さんが新たに加わり、新体制となりました。お二人にはそれぞれの専門性を生かして経験を積んでいただきながら、今までほとんどできていなかった営業を小倉及び事業部長の須貝が担い、売上金額を伸ばしていく方針です。

介護付き旅行だけでなく、介護施設や病院、自治会や学校等の団体旅行や、一般企業の研修旅行、また、バスや飛行機等の手配等の受注を増やし、収益の安定化を図っていきたいと考えております。今年度の目標数値としましては、営業訪問件数目標800件、売上金額目標としましては39,400,000円を目指します。

インキュベート事業部

「神戸がソーシャルな取り組みで自主的に社会課題を解決し、持続可能なまちになっていること」「国境やセクターを超える人材やSB・NPOを増やすための基盤づくり」の2つをビジョンに掲げています。しかし、2019年度が大きなターニングポイントとなります。現在、3つの事業を展開するサンパルの閉鎖がほぼ決まっているからです。そこで、事業構造を再構築する必要があります。そのためにも、2019年度に自主事業収入は1,000万円を目指したいと考えています。

ポイントは3つです。第一に、各事業はそれぞれ異なる受益者、異なるネットワークを有しているので、これまで以上に各事業間における情報共有を進めます。第二に、新たな事業の試行と実装です。事業のタネはいくつかあるものの、未だ形にはなっていません。第三に、日々のオペレーションをきちんとまわすことです。当事業部が10年以上にわたり事業を継続できた理由は、実務能力の高さであることに疑いはありません。