本報告書は事業報告書と事業計画書の2部構成としています。対象は、2019年4月1日から2020年3月31日(2019年度)の活動としています。
2019年度を振り返って
拝啓 新緑の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
2019年度は可もなく不可もない1年であったように思います。自己資本比率は年々改善され65%に、流動比率は250%と平均である120~150%を超え理想的に安定してきたといえます。一方、売上が約300万円減少し経常利益率は3%と経済産業省平成29年企業活動基本調査速報によるサービス業平均6.9%を大きく下回る実績となりました。
これらは売上高の向上への取組や生産性を上げ利益率の改善から得た数字ではなく、固定費抑制と投資を控えてきた結果であるといえます。
旅行事業部やインキュベート事業部は、社会的意義を前提とした事業活動であるものの、働くスタッフの雇用の安定と未来への希望も大切であり、そのためには売上や利益率の大きな改善が必要であると2019年度決算を通じて感じた1年でありました。
特に2020年度の旅行部門においては、アクションプランを作成しそれに基づいてロケットスタートを行うことにより売上高及び利益率の改善に取組む所存であります。
代表理事 小倉譲
しゃらく旅倶楽部 オーダーメイド旅行
今回の依頼者はお孫さん、と言っても社長さんですが。おばあちゃんが行きたがっていた出雲大社に連れて行ってあげたい、とご依頼がありました。しっかりお参りされています。お昼は出雲そば。食べ物がのどに詰まらないように気を付けてと看護師さんには言われていたのに、普通にお蕎麦をつるつると召し上がっていました。入院先の岡山の病院を早朝に出て、帰って来たときは外は真っ暗でしたが、お疲れも見せず、終始満面の笑顔を見せてくださっていました。ご高齢とご病気もあり回りの心配もありましたが、冗談を言われたり、食欲もおありで、本当に皆さん笑顔の日帰り旅行になりました。
2019年9月26日
お客様:6名、ドライバー:小倉譲、添乗エスコートヘルパー:宇野ひろみ
旅リハ倶楽部
長岡天満宮キリシマツツジと「うお嘉」で旬の筍弁当
筍で有名な京都の料亭に行ってきました。なかなか予約も取りにくくてずいぶん前から予約していました。やはりお庭も京都らしくて趣がありました。お腹もふくれたところで、長岡天満宮へ。本当に見事なキリシマツツジ!皆さん、感嘆の声をあげておられました。
2019年4月23日~26日
しゃらく旅倶楽部実績
2019年度の旅倶楽部事業部の売上総利益(粗利)は9,008,835円で、前年実績8,705,113円を3.5%上回ったものの、年度目標12,030,000円に対し達成率74.9%という厳しい結果に終わりました。訪問営業数を増やすことで固定客増を目指しましたが、結果的には目標の営業訪問件数にも届かず、固定客数も伸ばせずに終わりました。また、2月下旬以降新型コロナウイルスでキャンセルが相次ぎ、予定していた旅行が全てキャンセルになり、業績の悪化に追い打ちをかける形になりました。
旅リハ倶楽部については、今年度催行件数21本(前年比▲25%)、売上金額947,221円(前年比▲29.3%)とともに前年実績を大きく下回りました。毎回参加してくださる方の体力が落ちてきている一方で、新規参加者獲得が伸び悩んだのが大きな要因と思われます。そのほか、旅リハクラブのレギュラーメンバーに対する宿泊旅行の提案を行い、2本の宿泊旅行が催行されました。
体制的には前年に引き続き、宇野さんが主に添乗業務、廣岡さんが主に手配業務を担当、それぞれ対応件数を重ねながら、宇野さんは営業、廣岡さんは介護付き旅行案件対応と業務の幅を広げ、スキルアップすることができました。
しゃらく旅リハ倶楽部
日帰り旅行の旅リハのメンバーさんと台湾に行ってきました。3人ともパスポートの期限が切れていたり海外旅行が初めてだったりで、パスポート申請からでした。普段は皆さんシルバーカーを押して歩いておられますが、関西空港は広い!ので車椅子に乗り換えです。最初は3人様ともシルバーカーを押しての台湾旅行ができるのかどうか少し不安はありましたが、皆さん大満足で無事帰ってくることができました。次はどの国に行きましょうか?
2019年12月10~12日
お客様:3名、添乗エスコートヘルパー:宇野ひろみ
インキュベート事業部
生きがいしごとサポートセンター神戸西
兵庫県労政福祉課からの補助で、2006年度から運営しています。コミュニティビジネスやソーシャルビジネスの相談業務(起業13件、拡充2件)やセミナー(参加者数151名)などを行いました。新たな取り組みとして、ほかの生きサポと共催してのシニア向け合同就職説明会、精神障害を持つひとのインターンシップマッチング、COVID-19を受けてのオンラインセミナー(アート思考解題)などを行いました。
NPO法人設立・運営相談窓口神戸西
神戸市市民協働推進課からの委託を受け、2012年度から実施しています。設立相談(112件)、運営相談(133件)と相談件数は2018年度に比べて減少しました。その理由としては、ふれあいのまちづくり協議会のNPO法人化が一定程度完了したこと、市民活動を行いたい方々にとってNPO法人と一般社団法人の使い分けの理解が進んだことが挙げられます。NPO法人設立およびNPO会計に関する説明会を各1回開催し、参加者は計48名でした。
神戸ソーシャルキャンパス
2019年度は、学街活動のマッチング315件、学生プロジェクト活動件数13件を数え、累計利用登録者数も1,826名に達しました。大学生だけでなく高校生による活動も急増。また、協働したパートナーはNPOや地域団体に限らず、企業や行政、海外NGOなど多様化しています。年度末には新型感染症の影響を受け、スペースの閉館、イベントの縮小を余儀なくされたものの、より広い層が社会課題の解決へ参画することの可能性を感じた1年となりました。
神戸ソーシャルブリッジ
神戸ソーシャルブリッジは、神戸市内のNPO・地域活動団体と、企業社員、行政職員、シニア、学生など社会貢献活動を希望する多様な人材をつなぎ、地域社会の課題解決に協働して取り組むプロジェクトです。しゃらくは認定NPO法人サービスグラントと連携しつつ、コーディネート業務を担い、2019年度は84名の参加者と11の団体が年間で12プロジェクト(2か月間のみ)を行いました。
2020年度事業計画
基本方針
2020年2月より猛威をふるう新型コロナウイルス。これは(特活)しゃらくだけでなく、日本や世界経済に大きな影響を及ぼしています。メディア報道によると、新型コロナウイルによる経済打撃は、2005年のリーマンショックを上回り戦後最大になる可能性が高いと推測されております。
弊法人においても、旅行事業部の顧客のすべてが体力のない高齢者や障がい者であるため、2020年2月の中旬以降の旅行案件はすべてキャンセルとなり、2020年度の旅行計画はほぼ白紙の状態です。また、インキュベート事業においても対面相談やイベント、セミナー等を実施することができず、オンラインセミナー等で対応している状況であります。
特に、旅行部門の先行きは不透明です。2020年4月1日以降、旅行部門のスタッフ全員休業状態であり業務開始時期が未定であること(5月13日現在)。雇用調整助成金、持続化給付金、経営継続支援金等を活用しても、7月からキャッシュフローが悪化することは確実です。組織として、雇用を守ること。そして世界に先駆けて介護付き添い旅行をスタートしたしゃらく旅倶楽部事業の灯を消さないこと。なにより、しゃらく旅倶楽部が提供するサービスを待つ顧客のためにもコロナに負けるわけにはいきません。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の解除後に、
- キャンセルとなったオーダーメイド旅行の迅速な再提案
- 旅リハ倶楽部の即時募集及び催行
- 1.7兆円投下される観光需要喚起「Go Toキャンペーン」を顧客に提案(5/11段階詳細不明)
- 2020年度アクションプランに沿ったマネジメントへ速やかな移行
を実施することにより、2020年度決算への影響を限りなく小さくしたいと思っております。
インキュベート事業においても、試行錯誤が続く1年になると思います。2020年度を振り返る際に、イベントやセミナーといった事業を集合型で実施するといった常識から非対面式のオンライン型で実施する新しい常識に移行するといったインパクトある1年になっている可能性があります。コロナ危機により新しいより良い在り方を旅行部門もインキュベート部門も模索しつつ、このコロナ危機を社会とともに乗り越えていくことに最善を尽くす1年にしたいと思います。
しゃらく旅倶楽部
今年度の売上総利益目標は最低9,000,000円とします。新型コロナウイルスの影響拡大が今だ続いており、終息への出口も見つかっていない状況ではありますが、暫定的に6月事業再開を目処とし、運営継続のために最低限なんとかこの数字を達成できればと考えております。事業計画の具体的な内容は以下の通りです。
プル型営業強化
- メールマガジン配信 介護関係者へ毎月1回配信 目標:配信対象188名→250名
- 神戸・阪神間・大阪吹田豊中エリアの地域包括支援センター・居宅介護支援事業所・有料老人ホームを対象に、勉強会や家族会での事例紹介のご提案FAXを送信(FAX送信毎月1回/年間目標説明会実施回数合計15回)
プッシュ型営業強化
- 地域包括支援センターのうち、強化事業所を絞り込み3か月に最低1度の訪問。主に旅リハ倶楽部を売り込む(目標:名簿200人→280人、実質参加者20名→30名)。
- 居宅介護支援事業所、有料老人ホームのうち、強化事業所を絞り込み3か月に最低1度の訪問。主にオーダーメイド旅行の事例紹介からの売り込みを実施(オーダーメイド旅行新規受注目標年間12件)。
- 旅行実施後お客様にお渡ししているフォトブックを、お客様にお渡しする前に必ず担当ケアマネや介護スタッフと共有してから渡すよう習慣づける。
(お客様への直接提案による)販売・協力依頼強化
- お客様への協力(寄付)要請…郵送で寄付依頼
- 団体顧客に旅行券を販売…運営継続のため、取引先法人等に協力要請
- 以前の利用客の中で見込みのあるお客様宅を最低月1回訪問(できるだけツアーの提案までつなげる)母集団12名
インキュベート事業部
「神戸がソーシャルな取り組みで自主的に社会課題を解決し、持続可能なまちになっていること」「国境やセクターを超える人材やSB・NPOを増やすための基盤づくり」の2つをビジョンに掲げています。
2018年度、2019年度は大きなターニングポイントの時期になりました。2019年の年度末にそれぞれ別々の事業であった神戸ソーシャルキャンパス・神戸ソーシャルブリッジ・協働と参画のプラットホームは「KOBE社会貢献プラットフォーム」(仮称)として統合され、2020年度も引き続き事業を実施できることになりました。一方で、生涯いきいき情報センターは閉鎖が決まり、そこで得たノウハウやネットワークは生きがいしごとサポートセンター神戸西でこれからも生かすことになります。
また、2020年度は私たちを取り巻く社会環境が大きく変わりつつあります。その筆頭が新型コロナウィルスに伴うCOVID-19の影響です。この事業計画を作成している2020年5月14日現在、神戸ソーシャルキャンパス・神戸ソーシャルブリッジ・協働と参画のプラットホームは休館しており、生きがいサポートセンター神戸西・NPO法人設立・運営相談窓口神戸西も、対面による相談の縮小や事業計画の見直しを迫られています。
一方で、オンラインの活用が社会に浸透したことで、新たな事業も進めることができるようになってきました。具体的には、オンラインによるセミナーやミーティングが一般化したことで、これまでアプローチできなかった遠方の関係者(国内・国外問わず)と協働する可能性が芽生えつつあります。
このように、2020年度はこれまでとは異なった社会環境に置かれる中で、新たな取り組みを模索する必要があります。第1に、オンラインのさらなる活用です。すでにウェビナー(オンラインセミナー)やオンラインミーティングのノウハウは蓄積できました。今後は、オンラインプロジェクトや、緊急事態宣言解除後の”リアル”との棲み分けや連動を模索する必要があります。第2に、KOBE社会貢献プラットフォームの移転の対応です。KOBE社会貢献プラットフォームが活動するサンパルビルは、2020年度中にすべての事業所が退去する必要があります。今後も当事業を継続するためには、神戸市はもとより、さまざまな関係者とともに新たな形を探らなければなりません。
お問い合わせ・ご相談
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