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東日本大震災支援

阪神淡路大震災の記憶

2011年3月11日発生の東日本大震災にてお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様方には心よりお悔やみ申し上げます。

ピッタリくる言葉は、「やんちゃ坊主」

高校の先生からはさじをなげられ、周りの大人からは相手にされず、人生の目的もなく毎日フラフラしていた高校時代。そんな時に、阪神淡路大震災が起きました。

どうしたらいいか、分からない日々

目の前の状況、テレビから流れてくる情報を直視する事が出来ず、自分が何者なのかすら見失いそうになった事を覚えています。

震災という悲劇

様々な市民の動き、他府県からの支援の動きが出てきました。自分にも何かできないか、自然とそう感じた時、私の足は三ノ宮に向かっていました。倒壊したビル。瓦礫の山。見慣れた街の変わり果てた姿に、悲しみ以外の感情が湧いてきませんでした。

飛び込んでみた、ボランティア活動

街の至る所で、炊き出しなど多くの活動が芽生え始めました。悲しみに溢れた街角で、何かを忘れたいかのように一心不乱に作業をする人たち。私も何か出来ないか、私にも出来る事はないか、複雑な感情を押し殺して必死に考えました。

神戸市役所の隣にある東遊園地。ステージの骨組みにはブルーシートが引かれ、催し物が行われていました。ロン毛の大人、髭を生やした大人、ピアスに茶髪の大人達が楽しそうにステージの周りを走り、街の中でも異質の雰囲気が漂っていました。

「ここだ!」 ボランティアの申し出をしましたが、見るからにやんちゃ坊主の私に、はじめ多くの人は「‥‥」と無反応でした。それでも何かをしたいという私の想いを掬いとってくれ、仲間に入れてくれました。

フラワーテントで変わった人生観

ディレクターに音響屋さん、照明屋さんが県内外から集まり、悲しみに溢れる街に明かりを灯そうと、フラワーテントという舞台を繰り広げていました。そこには、それまで出会ってきた大人たちとは違って、共に笑い、共に悲しみ、共にその場を分かち合い、真正面から私と向き合ってくれた大人たちがいました。生まれて初めての共同作業、生まれて初めて人のために汗水流す心地よさ。悲しみ溢れる街の中の小さな希望が、私の人生観を変えました。

しゃらくからの、神戸からの恩返し

私を変えた震災。前向きに、夢に向かって歩み始めるきっかけとなった震災は、いわば私の原点です。県内外の熱いハートの持ち主たちと出会い、支援を受けたことで、私は人生の目標を見出すことができました。そしてこの経験があって、今のNPO法人しゃらくがあります。だからこそ、今度はしゃらくから恩返しがしたい。そして、しゃらくのお客様の中にも、阪神大震災を経験して、私と同じようなお気持ちを持った方がたくさんおられます。今、私達スタッフだけでなく、お客様と共に、しゃらくからの、神戸からの恩返しをしたいのです。

お客様と共に私達らしい支援

東日本大震災の発生後、これまでしゃらくが旅行にお連れしたお客様から、「私たちにも何か出来ることはないか」という声が次々と届いています。そんなお声を受けて生まれたのが、このチャリティパック旅行です。

私達しゃらくと、しゃらくを応援してくださっているお客様が、力を合わせてできる私たちらしい支援とは? その答えはやはり「旅」でした。700人以上もの要介護者の旅支援を行ってきた私達が団体旅行を催行し、その売上の10%を基金として積み立てる。その基金を活用して、被災地から神戸に避難されてきた皆様に旅行をプレゼントする。これが今回のチャリティーパックツアーの趣旨です。お客様からは旅行代金の一部を通じた支援だけでなく、この基金への直接の募金も受け付け、一人でも多くの方に、旅という形での外出支援を行っていきたいと考えています。

被災地から神戸にいらっしゃった皆様には、見知らぬ土地での暮らしに不安も多いことと思います。が、どうか内に引きこもることなく、大震災からの復興がかなった神戸という街を存分に知っていただき、同じ体験をしたからこそ持てる神戸市民の親身な思いやりを感じていただきたいと思っています。被災者の皆様に、未来への不安と悲しみを、ほんの一時の間でも忘れていただきたい。それが私達しゃらくとお客様の、神戸からの願いです。

特定非営利活動法人 しゃらく
代表理事 小倉譲

写真:当時のフラワーテントの様子